【インタビュー】ビル・トッテン×大学生


昔は親父の背中、今は教育ママ?

―― 敗戦で消えてしまったとは、どういうわけですか?

トッテン : アメリカが日本を支配する、つまり経済的な植民地にするためです。悪い言葉で言えばドレイ化すること。・・・いいですか?自由な人は自分で判断しなければなりませんね。だから生きていくために善悪の判断を教えます。自由な社会を維持するためには道徳が必要です。ところがドレイに自由は要らない。だから道徳も要らない。強い人の言うことを聞くように教育すればいい。戦前まで、子供たちは親父の背中を見て育った。しかし戦後はお母さんの言うことを聞くのが良い子。歯を磨きなさい、宿題やりなさい、寝なさい、起きなさい。どうして歯を磨くの?どうして宿題やるの?どうして1+1は2になるの?そういう疑問を持つ子はダメな子、不良です。疑問を持たせず、ひたすら詰め込み教育、暗記教育・・・。教育ママは戦後から出てきたのです。つまり、アメリカは日本に道徳教育をやめさせ、強い人に従順で、なおかつ優秀な仕事をこなす人材を育てるための教育を奨励したのです。



戦後65年経ってもまだ占領!?

―― なるほど。でも、そうすることでアメリカにとって何が得になるのですか?

トッテン : 戦後の日本にとって最も自然な貿易の相手はどう考えても中国でした。でも、ソビエトとアメリカの冷戦構造が始まって、アメリカは日本が中国と近づくことを恐れた。それで、アメリカの市場をどんどん日本に開放した。それで日本はアメリカへの輸出中毒になってしまったのです。今もそれが続いています。だいたい、自動車を造っている国に自動車を輸出する必要がありますか?経済学的に見ても間違ってる。皆さんは佐々木レポート(1983年)、前川レポート(1986年)って知ってますか?


―― 知りません。教えてください。

トッテン : 小泉内閣の規制緩和、民営化、ビックバンといった政策の青写真となった日銀総裁の有名なレポートです。この内容は、アメリカ政府の要望そのまま。ほとんど直訳と言ってもいいくらいなのです。私は驚きました。この国は戦後65年経ってもまだ占領されている。


―― でも、アメリカのおかげで経済大国になれたとも言えるんじゃないですか?どうしてアメリカに従うのがそんなに悪いことなんです?

トッテン : いえ、悪くはありません。ただ、日本は独立国ですよね。独立国は他の国に従いません。ドイツはどの国に従っていますか?フランスはどの国に従ってる?中国はどの国に?どこの国にも従わない。これが独立国です。ドレイのほうが楽ならドレイの道を選んでもかまいません。でも、そうなら国連の常任理事国になりたいなんて言っちゃいけない(笑)。
あなたは親から独立していますか?


―― いえ、まだです。親のスネをかじっています(笑)。

トッテン : だったら親の言うことを聞きますね。でも、あなたが独立してからもご両親が自分の都合でアレコレ命令してきたら嫌でしょ?



昔は鎖国する余裕があった。今はできない

―― 独立という意味で言えば、江戸時代の日本は独立していたと言えますね。

トッテン : 日本は江戸時代、完全な独立国でした。鎖国していたから、この島だけで自給自足をしていたし、素晴らしい循環型の社会を築きあげていました。外国の要求にも屈しなかった。そして、和の精神で260年もの間、平和を保ってきた。こんな国は滅多にありません。でも明治維新が起こってから、たった数十年で中国やロシアと戦争し、満州へ攻め入って、世界大戦では列強を敵に回してしまった。そして、敗戦後はずーっとアメリカの言いなりになっています。


―― でも、僕たちは、日本は鎖国をやってたから世界から遅れたんだと教わりました。

トッテン : 鎖国がいいかどうかは別として、当時は鎖国する余裕があった。今はとてもそんな余裕ありません。食料はカロリーベースで6割を輸入、穀物は7割、エネルギーにいたっては8割を輸入に頼っています。これ、若い学生さんはどう思いますか?



アメリカのマインド・コントロール?

―― うーん、言われてみれば確かに不安になります。でも、僕らは生まれたときからそういう環境の中で育ってきたので、そういうのが当たり前というか、あまり疑問に感じたことはないですね。現実に、世界中の食料品がスーパーに並んでいますから。

トッテン : ほら、疑問を持たせない教育で育ってきたからですよ(笑)。・・・アメリカはマインド・コントロールがとても上手な国です。米を食っていた日本人の給食にパンを出して慣れさせ、日本にパンの食事を定着させました。小麦はほとんどアメリカからの輸入です。映画、音楽、本、テレビ・・・、いかにアメリカが素晴らしい国かを訴え続け、アメリカを夢の国、憧れの国にしたのです。ファッションや音楽もアメリカのコピー。すべてマインド・コントロール。食事も洋風になり、日本の道徳を忘れ、儲けるのは良いこと、消費するのも良いこと、贅沢はもっと素晴らしい・・・。いつの間にかすっかりアメリカナイズされてしまった。そして、経済までアメリカ流になってしまった。昭和の終わりまで、昔の道徳教育で育った経営者が現役でした。でも彼らが引退したり亡くなってしまった平成元年から日本はアメリカ型の経営になった。それ以後の経済成長はほとんどゼロに近い。


―― アメリカ型の経営ってどういうことなんですか?

トッテン : 企業は人間の幸福と健康に役立つものだけを作る、これが本当の経済の姿です。ところが、今は日本でも、会社の利益追求のために要らない物ばかり売りつけている。中には健康を害するような食品まで平気で売りつける。携帯も新しいのを買わなきゃいけない、ファッション、ブランド品、ゲーム、新車、サプリメント、ダイエット薬・・・。広告宣伝は全部マインドコントロールです。アメリカ型の経営とは、消費者を企業のドレイにすることなんです。




PROFILE

Bill Totten | ビル・トッテン

株式会社アシスト代表取締役・評論家。2006年8月、日本国籍を取得。カリフォルニア州に生まれる。経済学博士。1969年に来日。1972年、パッケージソフトウェア販売会社「アシスト」を設立。日米問題についての著書を精力的に執筆。テレビや講演でも活躍。

ビル・トッテン コラム 「Our World

<著書>
日本は悪くない』高橋吾郎との共著ごま書房(1990)
転機に立つ日本―日本人よ、勤労の精神を忘れるな』光文社(1992)
日本人はアメリカにだまされている』ごま書房(1994)
うろたえるな、日本』(大前研一、田原総一朗との共著)ごま書房 (1994)
日本はアメリカの属国ではない』ごま書房 (1997)
日本はアメリカに負けていない』ごま書房 (1998)
論語に学ぶ人の道』(船井幸雄他との共著)ビジネス社(1999)
「脱アメリカ」が日本を復活させる』徳間書店(2000)
銀行は強盗、外資はハイエナ―日本再生の処方箋』小学館(2002)
日本は略奪国家アメリカを棄てよ』ビジネス社(2007)
愛国者の流儀』PHP研究所(2008)

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