【インタビュー】ビル・トッテン×大学生


本当に世の中は明るくなっているのか?

―― 確かに僕らは携帯なしでは生活できないし、女性もファッションに夢中です。でも、そうやって企業の業績が伸び、世の中が明るくなっていくのは良いことじゃありせんか?

トッテン : 本当に世の中は明るくなっていると思いますか?・・・さっき佐々木レポートの話をしましたが、佐々木レポート(1983年)以前まで、日本経済は年間10〜15%で成長していました。それ以降は5%に落ちて、今では退行しています。


―― そうらしいですね。

トッテン : 犯罪も19%増加。自殺率は35%増加、平成元年になってからは50%も増加して、30〜40代の男性の死因ではガンを抜いて1位です。


―― えーっ、1位!?

トッテン : その間に失業率は50〜60%増加しました。生活保護世帯は13%も増え、所得格差は10%以上広がっています。これでも世の中が良くなっているのですか?


―― いわゆる「勝ち組」と「負け組」の格差が広がっている・・・?

トッテン : そうです。「お互いさま」の気持ちはどこへ行ったのですか?「和をもって尊しとなす」という日本人の美徳はどこへ消えてしまったのですか?



昔の人は衣食住の仕事を自分でこなしていた

―― これも戦後のドレイ教育が効いているということなんですね。

トッテン : 昔の人、あなたたちのおじいちゃんの時代までは、衣食住に関するほとんどの仕事は自分でこなしていました。家は自分で直し、大工もやり、おばあちゃんは和裁や洋裁、野菜も自分で育てていました。今はお金を稼いで、ほとんどよそから買っている。他人にお金を払ってやってもらっている。不要なものまで買わされている。自分で直せないからほとんど使い捨て、あるいは高いお金を払って修理する。そうした企業の営利目的、つまりマインド・コントロールが地球のこのような危機的状況を作り出してしまった。私はそう思っています。


―― 言われてみれば確かにそうです。お小遣いはすぐに消えてしまう(笑)。

トッテン : 私は電動器具はなるべく持たないようにしています。なぜなら自分では直せないから。自転車もギアのついてない昔ながらの古いやつです。自分で修理できるからです。いつも飲み物を入れた水筒を持ち歩いているので、ペットボトルは買いません。再生できないものは買わない。自分で直せないものは買わない。誰からもマインド・コントロールされたくない。私は消費のドレイではなく、独立した人間でいたいのです。


―― ああ、なるほど!分かりました。だからご自分で食料も作ろうと畑仕事を。

トッテン : それもありますけど、・・・ちょっと違います(笑)。



経済が暴落する3つの理由

―― えっ、違う(笑)?・・・そこが一番お聞きしたいところなんですけど・・・。

トッテン : 日本の現在のGDPは約500兆円ですが、これは300兆円以下にまで下がる時代が来ると私は思っています。


―― ええ、そんなに!?・・・どうしてなんですか?

トッテン : 3つの理由があります。まずグローバル経済の破綻。グローバル経済といっても、実態はカジノ経済、つまり株の売買や外国為替の取引で儲けるギャンブルのようなものです。例えば、2007年の外国通貨の取引高は1日に452兆円でした。これは実際の世界の貿易額の86倍です。世界のGDP合計の27倍にのぼります。


―― ええ!?・・・それは、日本でも同じなのですか?

トッテン : そのとおりです。日本の外国為替の取引高は1年間で13140兆円。貿易額の84倍。日本の実質GDPの25倍です。


―― GDPの25倍!?

トッテン : これは全部、実体経済とは関係のない純粋なギャンブルなのです。すでにリーマン・ブラザーズの倒産に見られるように、こんな経済システムは間違いなく破綻します。


―― そんなにカジノ経済が過熱していたとは知りませんでした。

トッテン : もっと大きな二つ目の理由。それは、石油の時代が終わること。すでにオイルピークは過ぎています。化石資源は有限ですから、必ず枯渇します。水素もマイナスのエネルギー、原子力は危ない。石油のように安くて豊富なエネルギーは存在しない。石油が枯渇すれば、経済は大暴落します。


―― 確かに石油がなくなった世の中なんて想像がつきません。本などではあと40年で枯渇すると書いてありますが、本当なんですか?

トッテン : トッテン : 分かりません。10年後かも知れないし、50年後かもしれない。でも、仮に石油がなくならないとしても、世界の経済にとって大きな制約となるのが、三つ目の環境問題です。10年以内に現在使っている化石燃料の75%を減らさないと、地球の環境は臨界点を超えてしまい、今後は何をやっても1000年もの間、気温が上がり続けるそうです。これでは今までの経済活動が維持できません。


―― ・・・経済は余儀なく縮小せざるを得ない。

トッテン : そうです。でも、そうなると我が社の売上げも当然下がるということです。




PROFILE

Bill Totten | ビル・トッテン

株式会社アシスト代表取締役・評論家。2006年8月、日本国籍を取得。カリフォルニア州に生まれる。経済学博士。1969年に来日。1972年、パッケージソフトウェア販売会社「アシスト」を設立。日米問題についての著書を精力的に執筆。テレビや講演でも活躍。

ビル・トッテン コラム 「Our World

<著書>
日本は悪くない』高橋吾郎との共著ごま書房(1990)
転機に立つ日本―日本人よ、勤労の精神を忘れるな』光文社(1992)
日本人はアメリカにだまされている』ごま書房(1994)
うろたえるな、日本』(大前研一、田原総一朗との共著)ごま書房 (1994)
日本はアメリカの属国ではない』ごま書房 (1997)
日本はアメリカに負けていない』ごま書房 (1998)
論語に学ぶ人の道』(船井幸雄他との共著)ビジネス社(1999)
「脱アメリカ」が日本を復活させる』徳間書店(2000)
銀行は強盗、外資はハイエナ―日本再生の処方箋』小学館(2002)
日本は略奪国家アメリカを棄てよ』ビジネス社(2007)
愛国者の流儀』PHP研究所(2008)

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