【インタビュー】ビル・トッテン×大学生


誰も経済が暴落したときの計画を作っていない

―― それは避けられないでしょうね。倒産も相次ぎます。

トッテン : 多くの人は現在の業績の延長でしかモノを考えない。だからほとんどの会社は経済が暴落したときの計画を作っていません。リストラするだけです。私の仕事は「アシスト」を守ることです。社員の幸せと健康を守る。株主のために働いているんじゃない。皆、自分たちの幸福と健康のために働いているのです。社長の私はそれを守る義務がある。だったら給料を減らしても、社員が幸福と健康を手に入れられる計画を作らなければなりません。


―― 給料が減っても幸福と健康を手に入れられる計画!?

トッテン : 今年の10月に新しい本を出します。タイトルは『「年収6割でも週休4日」という生き方』(笑)。・・・アシストは終身雇用です。不景気になっても誰もリストラしません。だから経済が暴落したら、給料を減らすしかない。もちろん累進、つまり、給料の高い者から順に減らしていくやり方です。総額として4割カット、そのかわり週休4日にしたい。


―― うーん、週休4日は嬉しいけど、お金がなくなったらやることがないかも(笑)・・・。

トッテン : 経営者の義務とは何か。それは株主のため利益をあげることではありません。社員の健康と幸福を守ることです。私は会社や社員を守らなければならない。でも、社員にも守ってもらいたいことがあります。それは、まず買い物中毒を治すこと。ブランド品、海外旅行、電気製品、ファッション・・・。これらの買い物をやめればだいぶ節約できます。もうひとつは、衣食住に関することをできるだけ自分でやること。裁縫、大工、家庭菜園・・・、そういう技術を身につけることです。



社員に自分の背中を見せる

―― ・・・確かに理屈としては納得できるけど、・・自信ないなぁ(笑)。

トッテン : そう、だから、それは社員に命令してもしょうがない。自分で率先してやって、「背中を見せる」ことです。だから、庭のテニスコートをつぶして畑にしました。1年くらいやって成功してから、社員に薦めました。今では5、60名の社員が市民農園や家庭菜園をやってます。会社から年間2万円の補助を出しています。女性は和裁・洋裁の教室に通う。これにも補助を出しています。でもなんでも自分でやるには時間が足りない。だから週休4日にするのです。そうやって、給料が減っても、自分の生活の幸福と健康を維持して欲しい。


―― ・・・素晴らしいと思います。感動しました。ようやくトッテンさんがやっていらっしゃる農作業の意味が分かりかけてきました。

トッテン : いや、私なんかまだまだ。私の師匠を紹介しますよ。嵯峨嵐山で「アイトワ」という千坪のガーデンをやっていらっしゃる森さん。この人の生活は素晴らしい。徹底しています。彼は言います。「人はスローライフなんて言いますけど、実際には秒刻みの忙しさなんです」。次回の取材にお勧めします。


―― ありがとうございます!是非ご紹介ください。




人の役に立つ職人のような技術を身につけること

―― 最後にもうひとつ。僕たちはもう就職活動を始めなければならないんですけど、これからどんな仕事を選んだらいいのか、特にトッテンさんが仰るような経済の大暴落を控えて、僕らは何をしておけばいいのでしょうか?

トッテン : 皆さんへのアドバイスは社員と同じです。日常生活に役立つ仕事、つまり衣食住に関する職人、専門家になることです。そうすれば一生食べていけます。サラリーマンはダメ(笑)。定年があります。経済の都合でいつクビになるか分からない(笑)。一生食べていくのは無理です。私の会社の社員はサラリーマンというより、情報の専門家です。インターネットやITも莫大なエネルギーを使っています。ヤフーの2つのコンピューターセンターだけで世の中のテレビの電力と同じ消費をしている。高エネルギー型の情報手段ですね。
だから、我が社では将来の情報伝達の手段にならないかと、アマチュア・ラジオの研究プロジェクトを始めようとしています。これだったら使うエネルギーも少ないし、簡単ですから自分たちで修理できる。何より社会の役に立つ。つまり、私が言いたいのは、直接人の役に立つ技術を身につけろということです。会社に勤めながらでもいい、そういう暮らしに直接役に立つ職人のような技術を身につけろということです。


―― そうかぁ。じゃあ、例えば、トッテンさんのように家庭菜園でもいいんですね。・・・勤めながら自分の食料を作る技術を磨く。

トッテン : そう。農家は立派な職人です。農家になるのは無理だとしても、家庭菜園を始めるのは素晴らしいことです。第一、美味しい!それに健康になれる。もっと良いのは楽しいことです。私も自然と交わって忙しく過ごすことが、こんなに楽しいものとは知らなかった。


―― 今日は素晴らしいお話をありがとうございました。歴史や経済の話も面白かったし、これから生きていく指針のようなものを教えていただいた気がします。本当にありがとうございました。






PROFILE

Bill Totten | ビル・トッテン

株式会社アシスト代表取締役・評論家。2006年8月、日本国籍を取得。カリフォルニア州に生まれる。経済学博士。1969年に来日。1972年、パッケージソフトウェア販売会社「アシスト」を設立。日米問題についての著書を精力的に執筆。テレビや講演でも活躍。

ビル・トッテン コラム 「Our World

<著書>
日本は悪くない』高橋吾郎との共著ごま書房(1990)
転機に立つ日本―日本人よ、勤労の精神を忘れるな』光文社(1992)
日本人はアメリカにだまされている』ごま書房(1994)
うろたえるな、日本』(大前研一、田原総一朗との共著)ごま書房 (1994)
日本はアメリカの属国ではない』ごま書房 (1997)
日本はアメリカに負けていない』ごま書房 (1998)
論語に学ぶ人の道』(船井幸雄他との共著)ビジネス社(1999)
「脱アメリカ」が日本を復活させる』徳間書店(2000)
銀行は強盗、外資はハイエナ―日本再生の処方箋』小学館(2002)
日本は略奪国家アメリカを棄てよ』ビジネス社(2007)
愛国者の流儀』PHP研究所(2008)

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